霧生まどか「Fake scars for someone 」 KIRYU Madoka/lithograph(sheet)
¥19,800
霧生まどか kiryu Madoka
garlamd リトグラフ 2023 年
イメージサイズ 100×100 ㎜
ed.15
シートのみ
霧生まどか KIRYU Madoka
https://burmqhen9.wixsite.com/kiryumadoka/
1991 東京都に生まれる
2014 多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻 卒業
2016 多摩美術大学大学院絵画専攻版画研究領域 修了
2015 東京国際ミニプリント・トリエンナーレ 美術館賞
日本版画協会第83回記念版画展 日本版画協会賞
第40回 全国大学版画展 収蔵賞
2016 「幸福の鉢」(文房堂ギャラリーカフェ/東京)
2019 第19回南島原市セミナリヨ現代版画展 NBC長崎放送賞
日本版画協会第87回記念版画展 準会員最優秀賞
2020 「lotta memories like you」(小杉画廊/神奈川)
「about you」(ギャラリーフェイストゥフェイス/東京)
2021 日本版画協会第88回記念版画展 準会員賞受賞
2022 「ラブ イズ ブラインド」(cafe lamp/東京)「神さまの産毛」(小杉画廊/神奈川)
2022 FACE2023 野口玲一審査員特別賞
2023 「ABOUT YOU」(Galerie Stoetzel-Tiedt/ドイツ)
作品について 霧生まどか Kiryu Madoka
私は痛みの在り方について思考する作品を作っている。画面に登場するのは痛みを内包し傷つき続けて存在している物語である。作品内の絆創膏は痛みを表すアイコンとして登場している。絆創膏は画面内で人型に形成することもあれば、草木や蝶に変容するように描いている。その意味は痛みが時間の経過と共に完全に治癒することはなく傷跡という形で残り続けるが、その過程では姿形を変えて自身と共に在り続けてくれる、という私個人の祈りがある。
絆創膏は私にとって傷を負ったことに対し感情が鈍くなっていた時期に、視覚的に私は傷ついているということを教えてくれた深く繋がりを持ったモチーフなので登場させている。痛みというのは誰も知らないような小さな物語だ。とても個人的なもので、自分にとって、或いは誰かにとっては側に在り続けてしまうものだ。私はその繰り返し傷つきながらも自身の中に痛みを内包しながら闘い存在しようとする姿は、とても大事な存在で尊いものだと考える。
その存在を描くにあたり痛みや傷が発生させる認識や感情というものに孕んでいるネガティブな価値観について考えている。強大な負の存在として捉えられることが多いが、これは善悪の判断により認識を肥大させてしまっているのではないかと思う。その判断により、痛み、傷そのものが悪い、なかったことにしたくなる場面に直面することが多くなる。そのため痛みや傷に対してその輪郭を変えず事実として残す技法として版画を選択している。版画の図像は刷るときにその輪郭を変えることなく、そのままの姿で別の場所へと移ってしまう機能がある。その機能に実直さを感じ、全ての者たちの側にいてくれた痛み、傷という存在のそのものの尊厳を落とし込めるのではないかと考えている。そして作品に残したのちにぼろぼろで傷だらけの姿でも「美しい」と言えるようになりたい。
そして鑑賞者に響く作品を作ることができたら、少しでも痛みや傷に対する認識をありのままの姿で肯定することができるのではないかと思う