渡邊加奈子「 にじとり 3」 WATANABE Kanako "rainbow seeker 3 " 2023 woodcut(with frame)
¥33,000
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木版 和紙 フロッタージュ 色鉛筆 限定20部
woodcut, Japanese paper,Japanese ink, frottage, colored pencil, edition 20
image size: 27×21cm (sheet only:¥23,100)
frame size: 47×40cm
「私は和紙の裏側と表側から2〜30回版木を摺り重ねることで一枚の作品へと仕上げています。まるで何かを少しずつ圧縮して記録するような作業です。こうして現れた幾層もの濃淡に、不思議と暖かい奥行きを覚えます。以前、蜜柑畑だった土壌で造られた葡萄酒からは蜜柑の芳香がすると聞いたことがあります。土がかつての存在を伝えたように、木にも土地や水、、見知らぬ誰かの風景が入っているのでは、、と感じるのです。版を通すことで此方が投じた何気ない記憶の断片や形態が、私の考えていたよりも深い時間から呼応して浮かび上がってくる感覚がします。それは物質特有の生命が持つ、強靭な奥行きなのだと思うのです。」
渡邊 加奈子 WATANABE Kanako
1979 生まれ
2004 多摩美術大学博士前期課程美術研究科版画領域 修了
2005 山本鼎版画大賞展 第10回浜松市美術館版画大賞展
2007 Sixth Biennial of Engraving 2007, 近現代美術館 リエージュ/ベルギー
International Print Triennial Oldenburg,ホルスト・ヤンセン美術館/ドイツ
2008 XYLON14 国際木版画トリエンナーレ,Saint-Louis/フランス
2009 飛騨高山現代木版画ビエンナーレ<優秀賞>
2011 第17回 鹿沼市立 川上澄生美術館木版画大賞展<大賞>
2013 第8回飛騨高山現代木版画ビエンナーレ<大賞>
2016 中華民国第17回国際版画ビエンナーレ2016 ROC Special Jury Prize
2017 CWAJ現代版画展 審査員特別賞、アワガミ国際ミニプリント 審査員賞
2018 利根山光人記念大賞展 大賞、セミナリヨ現代版画展 南島原市商工会賞
2021 アートフェア東京(村越画廊より) 他 受賞歴・個展多数
<コレクション>
町田市立国際版画美術館、飛騨高山市、多摩美術大学美術館、鹿沼市立川上澄生美術館、
ベネトン財団、国立台湾美術館、Art Museum Cluj-Napoca、阿波手漉和紙商工業協同組合
Each of my works is produced by printing 20 or 30 times on the washi paper's surface and reverse side. The process is very much like compressing something little by little and keeping a record of result. The tonal gradation produced by multiple layering of print gives a mysterious sense of depth. Seeing this, I can't help but imagine a time before I was born and the joy that my forebears must have felt in the fragrance of flowers or being touched by the wind; I can also imagine that familiar places and old friends are hidden there within.
渡邊加奈子さんの版画作品は、何とも言えない魅力に溢れています。
黒にここまで温かみを感じる作品を他に知りません。
和紙の表と裏から二、三十回と版木を摺り重ねて生み出されるその世界は
過去と現在と未来を繋いでいるかのよう。
生まれる前からの世界と、朧げだけど記憶の奥底に眠っている夢の世界を
繋いでいるかのようにも見えます。
それは最古の写真技術であるダゲレオタイプ(銀板写真)のように
本当に写しとりたいものだけを、時間をかけて丁寧に、永遠に閉じ込める
作業にも似ているように思えます。
モノクロームの静寂、深淵な移ろいの世界。ぜひご覧ください。